ChatGPTは、日本でも幅広く使われている対話型AIで、人間が問いかける質問に対して品質の高い回答を提供してくれます。利用者がChatGPTを使う場合、Webアプリケーションから利用するケースが一般的です。具体的には、OpenAIが提供するChatGPTのWebサイトにアクセスし、そこで作成したプロンプトを送信します。
Webアプリケーションから利用する場合でも便利に使用できますが、一方で自社システムに組み込んだり、ChatGPTを活用した独自のシステムを顧客に提供したりするときは、ChatGPT APIを利用することが求められます。
システム開発や自社システムにChatGPTを組み込みたいという方の中には、ChatGPT APIの概要について深く知りたいという方もいるのではないでしょうか?
今回は、ChatGPT APIの概要や種類、活用事例などについて詳しく解説します。
目次
ChatGPT APIとは?概要をわかりやすく解説
ChatGPT APIとは、自社システムなど独自で開発しているプログラムからChatGPTを利用できるようにOpenAIによって開発されたツールのことです。
通常、人間がChatGPTを利用するときはOpenAIが提供するChatGPTのWebアプリケーションにアクセスして質問を投げかけます。しかし、Webアプリケーションで提供されているChatGPTは、ブラウザを利用する必要があり、もちろんプログラムの中に組み込むことはできません。例えば、自社システムのカスタマーサポートにChatGPTを組み込みたいときやChatGPTの技術を活用したサービスを提供したいとき、ChatGPTのWebアプリケーションからの利用は不便です。
一方、ChatGPT APIはChatGPTのApplication Programming Interface(アプリケーションプログラムインターフェース)であるため、プログラムからChatGPTを利用することができるようになります。つまり、プログラムからアクセスし、テキストをChatGPTに送信して回答を取得することが可能です。例えば、ChatGPT APIを利用することで、自社が提供するシステムサービスを利用する顧客が入力フォームに文字を入力すると、そのテキストをChatGPTに送信し、回答を表示させるということもできます。このように、ChatGPT APIを利用すれば、プログラムからの連携が容易になるため、ChatGPTの機能を自社のビジネスに活用したいという方に注目されているツールです。
ChatGPT APIの種類について
ChatGPT APIの種類は、大まかにわけて2つあります。それぞれの種類について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
GPT-3.5 turbo
GPT-3.5 turboは、GPT-3.5を利用することができるChatGPT APIです。GPT-3.5は、Webアプリケーションから無料で利用することができるChatGPTであり、多くの人が使用した経験があるのではないでしょうか?
ChatGPT APIを経由してGPT-3.5を使用する場合、GPT-3.5 turboを利用します。多くの人がご存じのように、後述するGPT-4よりも精度は低くなりますが、料金が安いなどのメリットがあります。また、ChatGPT API経由でGPT-3.5を使うことで、高速に出力することが可能です。
GPT-4
GPT-4は、ChatGPT Plusと呼ばれる月額20ドルの有料プランです。GPT-3.5よりも精度が高く、OpenAIが提供するChatGPT APIの中で2番目に新しいChatGPT APIとなります。
GPT-4 Turbo
2023年11月にOpenAIによって開催されたカンファレンス『OpenAI DevDay』で発表された最新のChatGPT APIです。GPT-4よりもさらに精度が向上しており非常に注目を集めています。
従来のChatGPT APIは、学習データが2021年9月までのものとなっていましたが、GPT-4 Turboは2023年4月までの情報を学習しているため、データの鮮度が更新されています。また、テキストだけでなく画像でプロンプトを入力することができたり、音声生成も実現することができたりします。さらに、入力できる文章量が128,000トークンとなっており、GPT-4の最大32,768トークンを大幅に超えているため、長文を処理できる能力が向上しました。
GPT-4 Turboは、ChatGPT APIの中でも非常に優秀なChatGPT APIとなっているため、自社システム等に組み込む場合は、GPT-4 Turboの利用がおすすめです。
ChatGPT APIの料金について
ChatGPT APIの料金は、モデルの種類によって変化します。具体的な金額は下記の表の通りです。
GPT-3.5 Turboは、gpt-3.5-turbo-1106やgpt-3.5-turbo-instructなど種類があります。そして、gpt-3.5-turbo-instructは、入力が0.003/1000トークン、出力が0.004/1000トークンとなっており、料金が変化します。料金の詳細については、OpenAIの公式ホームページからご確認ください。
ChatGPT APIでできること6選
ChatGPT APIを利用すれば、さまざまなシステムを開発することができます。ここでは、具体的に何ができるのかについて解説しますので、ぜひチェックしてみてください。
質疑応答システム
1つ目は、質疑応答システムです。
ChatGPT APIを利用すれば、プログラムの中で扱っているメッセージをChatGPTに送信して適切な回答を得ることができます。例えば、ChatGPT APIを利用し社内向けに質疑応答システムを導入すれば、利用者からのお問い合わせに対して社内データベースから必要な情報を素早く提供することができるようになります。人間が対応するよりも迅速に返答することができるようになるので、ユーザーの待ち時間軽減や顧客満足度の向上などの効果を獲得することができるでしょう。
自動応答システム
2つ目は、自動応答システムです。
自動応答システムとは、オペレーターなどに代わってAIが顧客対応を行うシステムのことです。ChatGPT APIを利用すれば、自社の問い合わせ内容を学習させて訓練し、自社の電話自動応答システムに組み込んで運用することができます。顧客のすべてのお問い合わせに対して完璧に回答することはできません。しかし、ChatGPT APIを利用すれば、AIが対応できる問い合わせはAIが回答し、それ以外はオペレーターが対応するというように体制を変更することができるので、人件費の削減や業務負担の低下などを期待することができるでしょう。
文章の要約
3つ目は、文章の要約です。
ChatGPT APIを利用すれば、プロンプトをプログラムから送信することができます。例えば、文章の要約に特化したシステムを開発し、その中にChatGPT APIを組み込みます。ユーザーが入力した文章を取得後、『【ユーザーが入力した文章】を要約してください。』というプロンプトを用意しChatGPTへ送信すれば、要約後のテキストを取得することが可能です。それを画面に出力させれば、要約に特化したシステムをユーザーに提供することができます。
文章の作成
4つ目は、文章の作成です。
ChatGPT APIを利用すれば、作成したい文章を取得することができます。要約と同様に、自社システムにChatGPT APIを組み込んだあと、取得したい文章を得られるようなプロンプトを作成し、それをChatGPTへ送信します。その後に、回答を画面に出力させることで、文章の自動作成が可能です。
文章を自動で作成することができれば、メールの作成やブログの執筆など、業務の負担を軽減することができるので、利便性を感じられる人も多いでしょう。
翻訳
5つ目は、翻訳です。
ChatGPT APIを利用すれば、日本語から英語、英語から韓国語など翻訳システムを導入することができます。例えば、海外へサービスを提供している会社がカスタマーサポートに導入したり、一般ユーザーが利用する翻訳サービスを提供したりすることも可能です。
プログラミングやプログラミング言語の翻訳、バグ修正
6つ目は、プログラミングやプログラミング言語の翻訳、バグ修正です。
ChatGPTはプログラミングに精通している対話型AIとして知られています。そのため、ChatGPT APIからプログラムを扱うことも容易です。
例えば、このような機能をPythonで実現したいというプロンプトを送信すれば、その機能を実現するソースコードをエディタへ自動入力することが可能です。また、すでに書かれているプログラミング言語と変換したいプログラミング言語を指定することで、ターゲット言語に翻訳することもできます。例えば、『PythonからPHPに変換したい』、『旧バージョンのプログラミング言語を最新バージョンにブラッシュアップしたい』という場合に便利です。
さらに、ChatGPT APIを利用すれば、バグを指摘するシステムを構築することもできます。例えば、入力済みのソースコードの中でバグがある場合は、それを指摘するコメントを出力させたり、自動で変換したりすることも可能です。
このように、ChatGPTはプログラミング言語に精通した対話型AIになるため、ChatGPT APIを利用すれば、プログラム制作やプログラミング言語の変換、バグ修正などプログラミングの自動化に関連するシステムを開発することもできます。
ChatGPT APIの活用事例
ChatGPT APIを利用してすでに開発されたサービスがいくつかあります。活用事例を見ることで、ChatGPT APIを利用して具体的にどのようなサービスを開発することができるのかがイメージしやすくなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
CloudSeedAI
公式サイト:https://ai.cloudseed.co.jp/
CloudSeedAIは、ChatGPT APIを利用して開発された文章生成サービスです。例えば、ビジネスDMや記事、記事のタイトルなどの文章を自動で生成してくれます。
有料プランには、最新のChatGPT API『GPT-4 turbo』、無料プランはGPT-3.5 turboを利用しており、ニーズに合わせてモデルを選択することが可能です。使いたいツールを選択し、キーワードを入れるだけで文章を自動生成することができるので、ユーザーがプロンプトを作成しなくてもニーズに合った文章を取得することができます。
Qlipper
公式サイト:https://qlipper.jp/
Qlipperは、4,000サイト以上のニュースサイトを中心にWebメディアを自動でモニタリングすることができるサービスです。このサービスの中に、『ChatGPTによる原稿の自動作成』という機能がありますが、これがChatGPT APIによって実現されている機能となります。
『ChatGPTによる原稿の自動作成』機能を利用すれば、作成したいプレスリリースの概要を入力するだけでChatGPTが原稿を自動で生成してくれます。パソコンから文字を打ち込んで作成するよりも時間が短縮されるので、業務効率を向上させることができるでしょう。
採用管理システム『i-web』のAI面接アシスタント
公式サイト:https://i-web-ats.humanage.co.jp/
i-webは、株式会社ヒューマネージが提供している採用管理システムです。このサービスの中で提供している新機能『AI面接アシスタント』は、ChatGPT APIを利用して構築されている機能になります。
AI面接アシスタントは、面接官の面接評価コメントをサポートするためのサービスです。これを利用することで、面接官は評価コメントをする以外の業務に集中することができるので、質の高い採用を目指すことができます。AI面接アシスタントは、i-webを導入している企業に無料提供されているサービスです。
michill by GMO
公式サイト:https://michill.jp/concierge
michill by GMOは、働く女性を対象に信頼できる情報やノウハウ・コツを提案してくれるWebメディアです。そのサービスの中でAIコンシェルジュを提供していますが、これはChatGPT APIを利用して実現している機能になります。
michill by GMOのAIコンシェルジュは、ファッションやコスメ、レシピなどさまざまな悩みや質問を入力して回答を得られるサービスです。例えば、『春のメイクの仕方を教えて』と入力して送信するとAIコンシェルジュが適切な回答を生成してくれます。
アクションリンク
公式サイト:https://actionlink.jp/
アクションリンクは、データ活用によって顧客ひとりへの最適なメッセージを自動化してくれるサービスです。アクションリンクは、CRMのメール原稿制作をサポートしていますが、これはChatGPT APIを利用して実現した機能になります。
配信目的やタイトル案、訴求したい内容、指示を入力するだけでメール原稿を自動で生成してくれます。これにより、営業担当者はメール制作の手間を削減することができるので、ほかの業務に集中することが可能です。また、AIが考えたメールのほうが集客効果を得られる可能性もあるので、業績の向上につながる場合もあるでしょう。
まとめ
今回は、ChatGPT APIの概要や種類、活用事例などについて詳しく解説しました。ChatGPT APIを利用すれば、質疑応答・自動応答システムや文章自動作成サービスなどを開発することができます。
実際に、ChatGPT APIを利用したシステムを社内に導入すれば、業務効率化などのメリットを獲得することが可能です。また、ユーザーにChatGPTの技術を活用したシステムを提供すれば、多くの人に対話型AIの素晴らしさを体験してもらうことができるでしょう。もし、自社でChatGPT APIを利用しシステムを組み込めないという場合は、外部のシステム会社に委託することを検討するのがおすすめです。
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