売れる商品やサービスを開発するためには、アイデアを出し合うことが重要です。さまざまな人の意見やアイデアを聞くことで多様性のある複数の視点を得ることができます。これにより、一人では考えられないようなアイデアを獲得することができるので、大きなメリットです。また、複数人で意見を出し合うことで短い時間の間にさまざまなアイデアを創出することもできます。
複数人によるアイデアの出し方はさまざまですが、代表的な集団思考法・発想法のひとつにブレインストーミングが挙げられます。ブレインストーミングは、複数人が自由奔放にアイデアを出し合い、他人のアイデアとの差異を利用して連想を行うことで多数のアイデアを生み出そうとする方法です。しかし、人間のみでブレインストーミングを行うと、挑戦的なアイデアを言い合うことができなかったり、相手の意見や主張に対して配慮し過ぎてしまったりするため、うまくアイデアを発散できないことがあります。このような悩みをお持ちの方は、ChatGPTを利用したブレインストーミングがおすすめです。
今回は、ブレインストーミングの概要やChatGPTにブレインストーミングをさせるためのプロンプト例などをご紹介します。
目次
ブレインストーミングとは?
ブレインストーミングとは、集団で意見を自由奔放に出し合い、新しい発想を生み出す集団発想法のことです。日本ではブレストと略されます。
ブレインストーミングは、1930年代後半にアレックス・F・オズボーンが広告・マーケティング業界でこの言葉を使い始めたのがきっかけです。当時、オズボーンはチームの中で良いアイデアが出ないことに悩みを抱えていました。そこで、オズボーンは新しいアイデアを生み出す手段としてブレインストーミングを採用したといわれています。
ブレインストーミングの主な目的は、多くのアイデアを出し、集団の中で共有することです。このような形式で会議などを行うことで、革新的なアイデアや解決策が生まれやすいので、そのようなアイデアなどを求める際に活用しやすくなっています。
また、ブレインストーミングは集団で行われる集団発想法ですが、一人でブレインストーミングを行うことも可能です。例えば、ホワイトボードや紙にアイデアを自由に書き出し、アイデアや解決策を見つける方法があります。また、現在ではChatGPTの登場によりさらに効率的に一人でブレインストーミングができるようになっているといえるでしょう。
ChatGPTを使ってブレインストーミングを行う3つのメリット
ChatGPTを使ってブレインストーミングを行うことで大まかにわけて3つのメリットを獲得することができます。どのようなメリットがあるのか詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
瞬時にアイデアが発散される
1つ目のメリットは、瞬時にアイデアが発散されることです。
プロンプト例については、後で詳しく解説しますが、メインテーマや制約条件を提示するだけで簡単にアイデアを出してもらうことができます。例えば、『10個アイデアを出力してください』とChatGPTに伝えれば、それを瞬時に把握することが可能です。
基本的に、人間だけでブレインストーミングを行った場合、一人一人が意見を述べたり、最適なアイデアを考えたりする時間が必要です。そのため、ブレインストーミングが終了するまでにある程度の時間を費やさなければなりません。しかし、ChatGPTならプロンプトを作成するだけで、瞬時にアイデアを提案してくれるため、非常に利便性が高いといえるでしょう。
ニーズに網羅したアイデアを創出できる
2つ目のメリットは、ニーズに網羅したアイデアを創出できることです。
ChatGPTは人工知能のAIチャットになるため、プロンプトによっても異なりますが、メインテーマに対して網羅されたアイデアを創出することができます。また、ChatGPTを使ってブレインストーミングを行うことで、制約条件なども設定することができるため、ダブりのないアイデアを出してもらうことが可能です。
ChatGPTを使ってブレインストーミングをすれば、知りたいアイデアを漏れなく把握できるだけでなく、意見が二重になるというようなトラブルも回避することが可能です。結果的に、ChatGPTを使えば効率的なブレインストーミングを一人で行えます。
無限にアイデアを生み出すことができる
3つ目のメリットは、無限にアイデアを生み出すことができる点です。
人間のみでブレインストーミングを行う場合でもそれぞれの人が保有する経験や知識をもとにあらゆる意見を出し合うことができます。しかし、持っている知識や経験には限りがあるため、会議に参加する人が少なくなればなるほど、出されるアイデアは限定的です。
一方、ChatGPTはAIチャットボットです。ChatGPTは、人間の質問を把握し、膨大なデータから適切な回答を送信します。具体的なデータ量に関しては公表されていませんが、GPT-3.5は13.5億のパラーメーターを持つ大規模な言語モデルです。複数の人間の知識量よりもはるかに勝っており、そのデータを活用して考えてくれるため、アイデアを無限に生み出すことができます。そのため、大量のアイデアを瞬時に得たいというときにChatGPTの利用が便利といえるでしょう。
ChatGPTにブレインストーミングをさせるためのプロンプト例
次に、ChatGPTにブレインストーミングをさせるときに活用できるプロンプト例について詳しく解説します。
ChatGPTにブレインストーミングをさせるときの一般的なプロンプト例
ChatGPTにブレインストーミングさせるためには、命令書及びメインテーマ、制約条件を作成します。具体的なテンプレートは下記の通りです。
【ブレインストーミングプロンプトテンプレート】
#命令書
あなたは私が設定したメインテーマに関するブレインストーミングを行い、下記の制約条件に従ってアイデアを創出してください。
#メインテーマ
{テーマを入力}
#制約条件
・5個のアイデアを出力
・制約条件を追加していく
上記のプロンプトでブレインストーミングを行う場合、メインテーマと制約条件を設定して送信します。実際に、ChatGPTにブレインストーミングを行わせた結果は下記です。
【ブレインストーミングをChatGPTに行わせたプロンプト例】
#命令書
あなたは私が設定したメインテーマに関するブレインストーミングを行い、下記の制約条件に従ってアイデアを創出してください。
#メインテーマ
Web開発
#制約条件
・5個のアイデアを出力
・架空の技術や企業名、人物名を記載しない
・出力したトピックに関しては200文字以内とする
【ChatGPTの出力例】
ChatGPTで出力したアイデアのメリット・デメリットを整理したいときのプロンプト例
また、それぞれのアイデアのメリットとデメリットを把握したい場合、下記のように命令文を続けることで、各アイデアのメリットとデメリットを把握することができます。
【ChatGPTプロンプト例】
それぞれのアイデアのメリット・デメリットを解説してください。
【ChatGPTの出力例】
ChatGPTで出力されたアイデアを情報整理する際のプロンプト例
そのほかにもKJ法を用いてアイデアを体系化してもらうこともできます。KJ法とは、断片的なアイデアや情報を効率的に整理する際に用いられる手法です。ブレインストーミングを行った結果に対してKJ法を用いる場合、それぞれのアイデアの情報をまとめたり、グループ化したりしてChatGPTで出力されたアイデアを整理することができます。
ChatGPTを使用し、KJ法を用いて情報整理する際の例は下記の通りです。
【ChatGPTでKJ法を用いてアイデアを情報整理する際のプロンプト例】
KJ法を用いてアイデアを体系化してください。
【ChatGPTの出力例】
ChatGPTで出力されたアイデアをさらにさらに探求するプロンプト例
ChatGPTによって出力されたアイデアをさらに探求することも可能です。アイデアを深掘りすることで、アイデアの漏れを抑制し、網羅性を高めることができます。具体的なプロンプト例は下記の通りです。
【ChatGPTでアイデアを深掘りする際のプロンプト例】
ユーザーのニーズについて、今提案した内容以外に考えられるものをピックアップしてください。
【ChatGPTの出力例】
ブレインストーミングのためにChatGPTを使用する際の4つの注意点
ChatGPTでブレインストーミングを行えば、さまざまなアイデアを創出し、商品開発などに活かすことができます。人間のみでブレインストーミングするよりも生産性が高く、多くのメリットを獲得することができるでしょう。
しかし、ChatGPTにブレインストーミングを行わせるとき、いくつかの注意点を把握する必要があります。ここでは、具体的にChatGPTにブレインストーミングを行わせる際に何について注意すればいいのか解説しますので、ぜひ参考にしてください。
狙った回答を得られないことがある
1つ目の注意点は、ChatGPTを使用してブレインストーミングを行った場合、狙った回答を得られないことがあるという点です。
ChatGPTは非常に優秀なAIチャットボットですが、幅広いジャンルの膨大なテキストデータを学習しているため、人間の質問に対してピンポイントに回答することが容易ではないケースがあります。特に、人間が作成したプロンプトの内容が曖昧である場合、ChatGPTはどのようなジャンルのテキストをピックアップすればいいのかわからないため、思うような回答を得ることが難しくなるでしょう。
ChatGPTが狙った回答を得るためには、先ほど紹介したプロンプトのように前提条件や制約条件などを明確に示した上で、ChatGPTに聞くことをおすすめします。
創出されたアイデアは細かく人間の目による検査が必要
2つ目の注意点は、創出されたアイデアに関しては、人間の目による細かい確認が必要であるという点です。
ブレインストーミングに限った話ではありませんが、ChatGPTから生成される回答は正確性が担保されていません。もし、学習したデータに誤りがある場合、間違った内容を出力してしまいます。そのため、正しい回答を得ることが難しくなるのです。
ブレインストーミングをChatGPTに行わせたとき、出力されたアイデアに誤った情報があったり、メリットやデメリットを出力してもらったときにその内容自体が間違いであったりするケースもあります。間違った内容のアイデアをそのまま商品化してしまうと大きな損失につながることになるため、その前に人間の目で内容を精査し、正確性などを確認することが重要です。
機密情報の取り扱いに注意する
3つ目の注意点は、機密情報の取り扱いに注意するという点です。
ChatGPTは、人間が送信したデータに関しても学習します。そのため、個人情報はもちろんのこと、「今後〇〇の関連商品を開発予定である」などの機密情報を入力してしまうと、それらの情報が外部に漏れる可能性があります。機密情報が漏洩してしまうと企業の信頼が失墜してしまうため、このような事態は避けなければなりません。
機密情報の漏洩を防ぐためには、ChatGPTを使用するとき、個人情報や機密情報を入力しないように努めなければなりません。また、ChatGPTが受信したデータを学習するのは、Web版のみです。つまり、ChatGPTのAPIを使用すれば、情報漏洩のリスクを大幅に下げることができます。しかし、ChatGPTのAPIはWeb版とは異なり無料トライアル以外は有料になりますので、予算と相談しながら導入を進めるようにしましょう。
アイデアを早期実行する
4つ目の注意点は、ChatGPTから提案されたアイデアを早期実行することです。
ChatGPTを使用することができるのは、決して自分だけではありません。現在、ChatGPTは無料で公開されており、アカウントを作成すれば、誰でも使用することができます。そのため、ChatGPTにブレインストーミングを行わせて出力されたアイデアはほかの人も把握することが可能です。
以上の理由からChatGPTから出力されたアイデアは誰でも知ることができるので、アイデアを早期実行していくことが重要になります。
まとめ
今回は、ChatGPTを使用してブレインストーミングを行わせ、アイデアを発展させる方法について解説しました。ChatGPTを使用すれば、無限にアイデアを創出することができたり、それぞれのアイデアのメリット・デメリットや情報を整理させたりすることも可能です。ChatGPTを使用したブレインストーミングには数多くのメリットがあります。この機会にぜひ活用してみてはいかがでしょうか?
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