システム開発などを行うIT企業の多くは、プログラミングやバグ修正に課題を抱えています。例えば、プログラミングを行うためには数多くのエンジニアを雇用する必要があり、手作業でコーディングをすると開発に膨大な時間がかかるケースも少なくありません。また、プログラミングにはコンパイルエラーと実行時エラーがあります。この中で特に実行時エラーに関しては、バグ修正に時間がかかるため、企業は多くの人件費を負担する必要があるでしょう。
企業や開発者の中には、このような課題を解決するために、コード生成AIやバグ修正AIを積極的に活用するところが増えています。実際に、コード生成AIやバグ修正AIを活用することでどのようなメリットがあるのか、そしておすすめのツールには何があるのか知りたいという方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回はコード生成AIやバグ修正AIの概要やメリット、おすすめのサービスについて詳しく解説します。
目次
コード生成AIとは?
コード生成AIとは、自然言語処理を用いて人間が作成したプロンプトに従ってソースコードを生成するAIのことです。例えば、『お問い合わせフォームをHTMLとCSSとJavaScriptで作成してください。』というプロンプトを送信すると、最適なコードを自動で生成してくれます。これにより、簡単なコーディング作業はAIに任せて、エンジニアやプログラマーはほかの作業に時間を使えるようになります。
コード生成AIは、HTMLやCSSなどはもちろんのこと、PHPやPythonなどさまざまなプログラミング言語を扱えます。そのため、それぞれの開発環境に関係なく活用できるケースが多いです。
バグ修正AIとは?
バグ修正AIとは、エンジニアやプログラマーが実装したプログラムの中から自動的にバグを検出して修正してくれるAIのことです。それぞれのバグ修正AIによって仕組みは異なりますが、バグを発見するための深層学習モデルを活用したり、静的解析によって潜在バグを発見し、修正案を提示したりするツールなどもあります。
バグ修正はエンジニアやプログラマーが直面しやすい課題です。コンパイルエラーの場合、ログにエラー内容が出力されるので、解決策を見つけるのは難しくありません。しかし、実行時エラーに関しては、直接的にエラーの原因を教えてくれるケースが少なく、アウトオブメモリーというような抽象的な指摘のみになります。この場合、エラーの原因を突き止めづらく、バグ修正に膨大な時間がかかることになるのです。
しかし、バグ修正AIを活用することで、バグが発生している原因などを人間の代わりにAIが発見してくれます。これにより、バグ修正にかかる時間を最小限にすることができるため、効率的なソフトウェア開発を実現することができるでしょう。
コード生成AI・バグ修正AIを活用する3つのメリット
コード生成AIやバグ修正AIを活用するメリットは大まかにわけて3つあります。それぞれのメリットについて詳しく解説しますので、導入することでどのような魅力を獲得できるのか知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
コーディング時間・修正時間の短縮
1つ目のメリットは、コーディング時間・修正時間の短縮です。
コード生成AIを活用することで、AIがエンジニアの代わりに自動でコードを実装してくれます。これにより、プログラミングにかかる時間を短縮することが可能です。
エンジニアやプログラマーであれば、短時間で多くの機能を実装できると思われる方もいるかもしれません。しかし、経験や技術力のあるエンジニアであっても手動でコードを実装する際には時間がかかります。一方、コード生成AIを利用すれば、プロンプトを作成し、実装して欲しい機能を伝えることで、コードが完成するため、大幅な時間短縮が可能です。
コード生成AIと同様にバグ修正AIに関しても人間が実行結果やソースコードとにらめっこする必要がなく、AIがバグの箇所を発見してくれたり、自動で修正してくれたりします。これにより、人間がバグ修正に対応する必要が少なくなるので、バグ修正時間の短縮も期待することができるでしょう。
バグ発見・修正の自動化
2つ目のメリットは、バグの発見や修正を自動化できるという点です。
バグ修正AIはバグの発見や修正に特化したAIですが、コード生成AIの中にもバグ検知や修正ができる機能を内蔵しているものもあります。そのため、コード生成AIを導入するだけでバグ修正への対応が少なくなる可能性もあるでしょう。
効率的な作業の実現
3つ目のメリットは、効率的な作業を実現することができるという点です。
コード生成AIやバグ修正AIを導入せず、エンジニアが手動で開発におけるすべてのプロセスに対応する場合、要件定義や基本設計、コード実装、システムテストなどすべての工程を人間が対応しなければなりません。
一方、コード生成AIやバグ修正AIを活用する場合、ひとつの工程をAIに丸ごと任せることはできませんが、その中で発生する作業量をAIと分担することができるため、エンジニアやプログラマーが対応しなければならない作業量が減ります。これにより、効率的に作業を進められるので、その点も大きなメリットです。
プログラミングに活用できる7つのコード生成AIツール
プログラミングに活用できるおすすめのコード生成AIツールは、大まかにわけて7つあります。それぞれのコード生成AIツールの概要や特徴をご紹介しますので、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
TabNine
公式サイト:https://www.tabnine.com/
TabNineは、VSCode等のエディタで使用することができるAIコード補完ツールです。アルファベットなどを打ち始めると次に書かれるコードを予測し、補完してくれます。
TabNineは、オープンソースで公開されているコードで学習したパブリックモデルとTabNine導入後に書いたコードをローカル内で学習したモデルの2つを採用し、コードの自動生成ができる仕組みです。また、プログラマーが記述するコードを学習することがないコード生成AIになるため、安心して利用することができます。
Code Llama
公式サイト:https://codellama.dev/about
Code Llamaは、メタ者が開発したコード生成専用のLLMです。LLMは、大規模言語モデルのことで、膨大なデータとディープラーニング技術によって構築された言語モデルを意味します。LLMの代表例としては、GPT-4やClaude、LLaMA、OpenFlamingoなどが有名です。Code Llamaは、Llama2モデルをベースに開発され、5,000億単語にも上るコード生成に特化した学習データを使用しています。
Code Llamaを使用してできることは、コード補完やプロンプトに沿ったコード生成、コードに関する質問への回答が挙げられます。コード補完は、プログラマーなどがコードを途中まで記述するとその後のコードをAIが補ってくれる機能です。Code Llamaが最終的にコードを完成させてくれるので、最後までコードを書く必要がありません。プロンプトに沿ったコード生成では、プロンプトを作成して送信するとコードを自動生成してくれます。これにより、実現したい機能を言葉で伝えることができれば、あとはAIがコードを生成してくれるため非常に便利です。プログラム関連の質問への回答に関しては、その名の通りわからないことなどに応えてくれる機能です。例えば、実現したいサービスのフレームワークとして何を採用しようか迷っている場合、それについて質問をすると最適なフレームワークを提案してもらうことができます。
ちなみに、Code Llamaはオープンソースで公開されており、研究及び商用利用は無料となっています。そのため、誰でも利用することが可能です。しかし、Code Llamaは完全なオープンソースではありません。メタ社の権利下にあり、ライセンス契約などが求められる場合があります。また、商用利用は可能となりますが、月間のアクティブユーザーが7億人を超えるとライセンス契約を結ばなければならないため、ビジネスで活用したいと考えている方は、その点に注意するようにしましょう。
Hugging Face
公式サイト:https://huggingface.co/
Hugging Faceは、AIモデルやデータセットを共有・利用するためのプラットフォームサービスです。この中でコード補完機能を提供しているため、コード生成AIツールとして活用することもできます。
Hugging Faceは、PyTorchとTensorFlowのライブラリを提供していたり、GPT-3モデルをベースとしてコード生成AIツールを利用できたりします。一部の機能は有料ですが、基本的に料金は無料です。自動的にコードの補完や生成ができるため、コード生成AIとしておすすめのサービスです。
Amazon CodeWhisperer
公式サイト:https://aws.amazon.com/jp/codewhisperer/
Amazon CodeWhispererは、コード生成やプログラミングの提案をしてくれるコード生成AIです。APIドキュメントなどから数十億行のコードを学習しており、既存のコードやコメントに基づいて最適な提案を行ってくれます。
Amazon CodeWhispererを使用するためには、AWSアカウントが必須です。個人の場合は無料で利用することができるため、コストがかかりません。また、Amazon CodeWhispererはVSCodeに導入して利用することができます。
GitHub Copilot
公式サイト:https://github.com/features/copilot
GitHub Copilotは、プログラマーが記述したコメントや関数から最適なコードを推測して提案してくれるコード生成AIです。提案を受けた内容を採用すれば、そのままコードに反映させることができます。プロンプトからコードを生成するわけではありませんが、提案内容を受け入れることで結果的にコード生成してくれるため、非常に便利です。
GitHub Copilotは、PythonやJavaScript、C#など日本で使用される主要言語に対応しています。料金は月額10ドルとなっており、比較的低コストで導入することが可能です。
OpenAI Codex
公式サイト:https://openai.com/blog/openai-codex
OpenAI Codexは、OpenAIが開発したコード生成AIです。自然言語からコードへの変換やチャット形式の支援によるコード自動生成を提供してくれます。OpenAI Codexは、自然言語処理と機械学習の技術を組み合わせて膨大なコードやドキュメントを学習しているコード生成AIです。そのため、ユーザーの質問に答えることができたり、コードを自動生成できたりします。
OpenAI Codexのコード自動生成機能は、ユーザーが要求した内容に基づいてコードを生成してくれます。生成されたコードをそのまま貼り付けるだけで機能する場合もあるので、非常に便利です。
IntelliCode
公式サイト:https://visualstudio.microsoft.com/ja/services/intellicode/
IntelliCodeは、Microsoft社が提供しているAIによるプログラミング支援ツールです。Visual StudioやVisual Studio Codeに統合されており、具体的にはコード補完機能を提供しています。
IntelliCodeは、プロンプトからコードを生成することはできず、プログラマーが書いたコードを後から補ってくれるツールです。プログラマーの意図を完全に理解することはできないため、意図しないコードに補完する場合もあります。
バグを自動で修正することができる2つのおすすめのバグ修正AIツール
次に、バグを自動で修正してくれるおすすめのバグ修正AIを2つご紹介します。
Snyk
公式サイト:https://snyk.io/jp/platform/deepcode-ai/
Snykは、DeepCode AIを搭載したバグ修正AIツールです。DeepCode AIは複数のモデルとセキュリティに特化した学習セットをひとつの目的のために使用することで、アプリケーションのセキュリティを確保しつつ高度なプログラミング支援の実現を可能にしています。
Snykは、コードを自動でスキャンして修正内容を提案することができます。この修正提案機能によりプログラマーの修正作業が大幅に減るため、効率的な開発を実現することが可能です。また、統合開発環境からインラインで提案された修正を確認し、必要に応じて調整することもできるため、柔軟な対応ができる点も大きなメリットといえるでしょう。
Cursor
公式サイト:https://cursor.sh/
Cursorは、AIツールChatGPTを搭載したバグ修正AIツールです。プログラミング関連のあらゆる作業を自動化することができるため、コード生成AIとして使用することもできます。
Cursorには、自動デバッグ及びエラー修正機能が搭載されています。具体的には、生成されたコードの中に発生しているエラーを検出し、その修正案を提案してくれる機能です。これにより、修正箇所を自分で見つける必要がなく、余計な修正作業を大幅に減らすことができます。
まとめ
今回は、コード生成やバグ修正ができるおすすめのAIツールをいくつかご紹介しました。コード生成やバグ修正が自動化されることで、プログラマーやエンジニアは効率的に作業ができるようになります。そのため、コード生成やバグ修正ができるAIツールを導入すれば、企業や開発者にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。
しかし、コード生成やバグ修正ができるAIツールはそれぞれで特徴が異なります。例えば、コード生成AIの中には、コード補完のみの製品やプロンプトに沿ったコード生成ができるものなどさまざまです。また、バグ修正AIに関してもそれぞれでできる修正作業が変化しますので、導入する前にコード生成AIやバグ修正AIツールの特徴を確認するようにしてください。
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