クラウドサービスはとても利便性が高く、企業が構築して提供することでユーザービリティの向上を目指すことができます。例えば、時間や場所を問わず、どこからでもアクセスすることができるため、テレワークの推進や働き方改革として効果的です。また、コストを抑えることができたり、運用管理の負担を削減できたりするので、非常に多くのメリットがあります。
クラウドサービスを構築する場合、クラウドコンピューティングを利用するケースが多いです。そして、その代表的なサービスとしてAWSを挙げることができます。クラウドシステムの構築を検討している方の中には、AWSの採用を考えており、それに伴い概要を理解しておきたいという人も少なくでしょう。
そこで、今回はAWSの概要や従来サーバーとの違い、具体的に何ができるのかについて解説します。
目次
AWSとは?概要をわかりやすく解説
AWSとは、Amazon Web Serviceの略称で、Amazonが世界で提供しているクラウドプラットフォームです。全世界にデータセンターがあり、そこから200以上の機能を提供しています。仮想サーバーはもちろんのこと、オンラインストレージや高性能マネージドリレーショナルデータベース、サーバーレスクラウドサービスなどがあり、利用者は構築したいシステムに合わせて選択することが可能です。初心者にわかりやすく簡単に表現すれば、AWSとはAmazonのサーバーなどを借りられるサービスといえるでしょう。例えば、仮想サーバーを借りてWebサイトを作ったり、Amazonが保有するAIを利用できたりします。
本来、サーバーの構築はハードウェアの購入から始めなければならないため、費用や手間がかかります。また、同様にAIや高性能データベースの構築も技術力やそれに伴う費用が必要です。AWSを利用すれば、このような手間や費用を削減することができるため、現在非常に注目されているクラウドプラットフォームになります。
クラウドシェア率でAWSは1位
AWSはクラウドプラットフォームの中で代表的なサービスのひとつです。AWSの利用を検討している人の中には、シェア率について気になる方も少なくないでしょう。
アメリカの調査会社であるCanalysとSynergy Research Groupによるとクラウドプラットフォームの中でAWSのシェア率は31%となっており、全体の1位です。次いでMicrosoft Azureが24%、Google Cloudは8%となっています。この結果を見れば、AWSが世界からどれほど支持されているのかが理解できるでしょう。
ちなみに、Azureについて概要を改めて把握しておきたい方は、
をご参照ください。
従来サーバーとの違いについて
AWSと従来サーバーの大きな違いは、サーバー機器を設置する必要があるか否かです。
インターネット経由で利用するサービスを構築するとき、サーバーが必要になります。AWSなどが登場する以前の従来サーバーにおいては、自社でサーバー機器を用意して設置する必要がありました。もちろん、サーバー機器の購入には、導入費用がかかります。また、ハードウェアを設置する以外にもWebサーバーを構築したり、データベースを導入したりしなければならないため、大きな運用コストが必要です。
一方、AWSはサーバー機器を自社に設置する必要がありません。AWSは仮想化技術を利用してユーザーが1台のサーバーを利用できるようになっています。そのため、ハードウェアを購入する必要がないのです。また、自社で導入するよりも通信環境が快適だったり、拡張性に優れていたりするため、従来サーバーよりもメリットが多くなります。
知っておきたい!AWSでできること6選
AWSを利用すれば、実際にどのようなことができるのでしょうか?具体的にAWSを利用して実現できることを6つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Webアプリケーションの構築
AWSを利用すれば、Webアプリケーションの構築が可能です。例えば、企業のWebサイトはもちろんのこと、ECサイトを構築することもできます。また、WordPressに特化したサービスもあるため、CMSの運用も可能です。
AWSを利用すれば、Webアプリケーションを運用するためのサーバーを数分で構築することができます。そのため、スピーディーにWebアプリケーション制作を実現できるので、その点も大きな魅力のひとつです。
データ保存・バックアップ
2つ目は、データ保存・バックアップです。
AWSといえば、Webサービスをイメージする人も多いですが、データ保存やバックアップを目的に利用している企業も少なくありません。企業はさまざまなデータを扱いますが、その中に大切な情報をいくつも所有しています。万が一、そのデータが消えてしまうと、大きな損失となってしまうでしょう。
AWSはデータ保存の容量を確保するために利用されたり、災害対策として活用されたりするケースも多いです。オンラインストレージを利用することで、保存できるデータ容量を増やすことができます。また、Amazonが提供しているデータセンターは災害リスクの少ないところに設置されているため、企業がS3にバックアップしておけば、災害対策として効果的です。
単に容量が増えたり、バックアップができるようになったりするだけでなく、保存のしやすさもAWSの特徴になります。AWSには特有のコマンドがあり、それを利用すればサーバーなどから容易にデータを保存することが可能です。そのため、効率的にデータを保存することができるので、利便性が高いといえます。
ビッグデータの保存
3つ目は、ビッグデータの蓄積や運用です。
AWSが提供するサービスの中には、ビッグデータを蓄積・解析できるものがあります。機械学習やデータ変換など、分析力に優れたものもあり、効率的にビッグデータを扱うことが可能です。
データベースの構築・利用
4つ目は、データベースの構築です。
AWSでは、MySQLやPostgreSQLと互換性があるRDBMSを利用することができます。クラウド用に構築されたデータベースであり、高いパフォーマンスと可用性が大きな特徴です。実際に、障害が発生すると大きなリスクを被るゲームやソーシャルメディアアプリケーション等で使用されています。
基幹システムの構築
5つ目は、基幹システムを構築することができる点です。
AWSは、販売管理や在庫管理、会計システムを構築することができます。AWSを利用して基幹システムを構築すれば、クラウド化の実現が可能です。これにより、企業の基幹システムを社外から扱うこともできるようになります。テレワークの推進や働き方改革などに必要不可欠であり、企業の中には従来から使用している基幹システムをAWSに移行しているところも多いです。
専用回線を利用した接続
6つ目は、専用回線を利用して自社とAWSを接続することです。
AWSでは、プライベート接続ができる専用回線が提供されています。これを利用すれば、高セキュリティの通信を実現することが可能です。また、さまざまな帯域が提供されているため、企業ごとのニーズに合わせて選択することができます。
AWSの代表的なサービス一覧!内容を把握すれば何を作れるのかがわかる
AWSには、さまざまなサービスが提供されており、実現したいことに合わせて適切なものを選択することができます。ここでは、代表的なサービスをご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
Amazon EC2
Amazon EC2は、仮想サーバーを提供してもらえるAWSの中でもっとも代表的なサービスです。Webアプリケーションを構築する際に必須となります。
Amazon EC2は拡張性に優れたサービスです。インスタンスが複数用意されており、種類によってCPUやメモリ、ネットワーク帯域幅などが異なります。そのため、スペックを上げたいというときに、性能の高いインスタンスタイプを変更するだけで実現することが可能です。
レンタルサーバーやVPSに比べてメリットが多く、簡単にサーバーを構築することができるため、AWSの代表的なサービスのひとつです。
Amazon Simple Storage Service(S3)
Amazon Simple Storage Serviceは、ストレージサービスの一種であり、Amazon EC2に次ぐ代表的なサービスです。Amazon Simple Storage ServiceはS3と頻繁に略されます。
S3は柔軟なストレージ機能が搭載されているため、ニーズに合わせて自由に使うことができます。また、豊富なツールや機能があるため、分析しやすかったり、データのバックアップに使えたりします。
Amazon Aurora
Amazon Auroraは、リレーショナルデータベースを提供するサービスです。下記のエンジンが用意されており、システムに合わせて自由に選択することができます。
- Amazon Aurora
- MySQL
- MariaDB
- PostgreSQL
- Oracle
- Microsoft SQL Server
Auroraは、MySQLもしくはPostgreSQLのどちらかの互換性があるバージョンを選択することが可能です。データのスピーディーな読み書きができるため、高速なサービスを実現することができます。
AWS Lambda
AWS Lambdaは、サーバーレスを実現することができるサービスです。サーバーレスとは、サーバーがない状態でもプログラムを実行できることを意味します。
従来においてプログラムを実行するためには、Webサーバー(Apache)やアプリケーションサーバー(Python)、サーバーOS環境(Linux)が必須となっていました。しかし、Lambdaではこのような実行環境は不要になります。
Lambdaを利用すれば、S3にファイルがアップロードされたタイミングで画像をトリミングするなどのプログラムを実行することができたり、リアルタイムのストリーミングデータを処理できたりします。処理が実行された時間に対してのみ料金を支払うため、大幅なコスト削減を期待することが可能です。
Amazon Lightsail
Amazon Lightsailは、AWSが提供している仮想プライベートサーバーのことです。EC2はコンピューティング環境のみ提供されていますが、Lightsailはそれに加えてストレージやスナップショット、ロードバランサー機能などが搭載されています。簡単に言えば、EC2よりも拡張性が劣る反面、初心者でも使いやすくなっているコンピューティング環境とイメージすればわかりやすいでしょう。
Lightsailは、WordPressの利用を前提にWebアプリケーションを構築することができるため、Webサーバーを構築したり、MySQLをインストールしたりする必要がありません。また、WordPressも事前に搭載されているため、IPの固定やドメインの設定など、最低限の作業でWebサイトを構築することができます。
AWSでシステムを構築する5つのメリット
AWSを利用すれば、さまざまなメリットを獲得することができます。代表的なAWSのメリットを5つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
素早いシステム構築を実現
1つ目のメリットは、素早いシステム構築を実現できる点です。
通常、Webアプリケーションを構築する場合、サーバー機器を設置するなど、さまざまな作業が必要になります。一方、AWSは契約したらすぐに仮想サーバーが手に入り、作業を開始する可能です。Webアプリケーション構築に必要なあらゆる工程を削減することができるので、大きなメリットになります。
コスト削減
2つ目のメリットは、コストを削減することができる点です。
AWSは従量課金制を採用しているため、使用したリソースに対してのみ料金を支払います。そのため、余分の費用がかかる心配はありません。
例えば、レンタルサーバーやVPSは月額定額制になっているため、アクセス数に関係なく固定の料金を支払う必要があります。一方、AWSは使用したリソースのみに費用がかかるため、アクセス数が少ないサイトは、ほとんど料金が発生しません。そのため、コストを削減できる可能性があります。
拡張性が優れている
3つ目は、拡張性に優れている点です。
性能の異なるインスタンスタイプが用意されており、運用後に変更することもできます。例えば、はじめの段階はアクセス数が少ないため、性能の低いインスタンスタイプを選択していたが、アクセス数の増加に伴い、性能を向上させたいというときに、既存のインスタンスタイプを新しいものに変更することができます。アクセス数など、システム運用の状況に合わせて最適なサーバーを選択することができるので、大きなメリットとなります。
高セキュリティ
4つ目は、セキュリティが高いことです。
AWSはPCI DSSなど第三者機関の認証を数多く取得しているクラウドプラットフォームになります。また、世界的なサービスにおいてもAWSが使われており、そこからも信頼性の高さを伺い知ることができるでしょう。
サポートが充実
5つ目は、サポートが充実していることです。
Amazonは米国を代表する企業ですが、日本語でのサポートを実施しているため、英語から必要な情報を収集する必要がありません。また、料金などの一般的な相談だけでなく、技術サポートも提供しているため、その点も大きなメリットといえます。
まとめ
今回は、AWSとは何か、メリットなどについて初心者向けに詳しく解説しました。AWSは世界的にシェア率の高いクラウドコンピューティングであり、すでに多くの企業がAWSを利用してクラウドシステムを構築しています。
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