こんにちは。株式会社クラウドシード、システム開発部です。
近年、多くの企業や自治体で導入されているシステムとしてCRMが挙げられます。CRMとは顧客管理を行うためのシステムのことです。
実際に、CRMを導入することで業務効率化やコスト削減などさまざまなメリットを獲得することができるため、幅広い業態で導入が進められています。
しかし、CRMという言葉を最近はじめて知ったという方も少なくないでしょう。また、具体的にどのようなシステムなのかイメージできない人もいるのではないでしょうか?
今回は、CRMの概要やメリット、注意点、不向きな会社の例をご紹介しますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
目次
CRMとは?概要をわかりやすく解説
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客関係管理のことです。サービスを提供する側が顧客と良好な関係を築くことができるように、顧客を管理することが広義の意味になります。顧客と良好な関係を維持することでLTV最大化を目指すことができるため、現代社会において重要なものと位置付けられているのです。
また、狭義のCRMは、顧客との良好な関係を維持するために、それをサポートしてくれるシステムを意味します。CRMツールなどと表現されることも多いです。企業のサービスや商品の普及が広まると、抱えなければならない顧客の量も膨大になります。例えば、お客さんが10人程度の場合、従業員で担当を振り分けて対応することができるでしょう。しかし、1,000人、10,000人となるとITツールを使用せずに顧客を管理することは非常に難しくなります。この課題を解決したのがCRMです。CRMを導入することで手作業によって管理しなければならなかった顧客情報や分析を自動化できるため、膨大な顧客情報を抱える企業でも良好な関係を築きながらサービスを提供できるようになりました。
CRMの需要が高まった背景
CRMの需要が高まった背景は下記の3点です。
- 顧客との良好な関係維持の必要性の高まり
- 手動による顧客管理の課題の排除
- LTVの向上
それぞれの背景について詳しく解説します。
顧客との良好な関係維持が必須となった
1つ目の背景は、顧客との良好な関係維持が必須になったためです。
インターネットの普及により従来に比べて顧客は情報を収集しやすくなりました。これにより、各社の商品を見比べたり、どちらが適切なのかを簡単に判別できたりするようになったのです。
消費者のニーズが多様化したことで、顧客離れも容易に起きるようになりました。例えば、A社のサービスを利用していたが、インターネットでさらに利便性の高い・安いものを探していたところ、B社のサービスが見つかったとします。もし、A社と良好な関係が維持されていなかった場合、B社に乗り換えてしまうので、A社は他社に顧客を奪われることになるのです。
顧客との関係を維持することで、他社に顧客が流れるリスクを減らすことができます。そして、顧客関係管理にはCRMが必須となるため、需要が高まった背景のひとつです。
膨大な顧客情報を容易にするため
2つ目は、手動による顧客管理の課題を解決するためです。
顧客の数が膨大になると管理しなければならない情報も増えるため、手動による情報の把握や分析は大きな負担になります。また、情報の管理費用が増えるだけでなく、手動による作業はヒューマンエラーなども発生するため、効率的に管理することができません。CRMを導入すれば、膨大なデータの管理が容易になるだけでなく、人為的ミスも防ぐことができるため、コスト削減や業務効率化を期待できます。
LTV最大化
3つ目は、LTV最大化を目指す必要があるためです。
新規顧客の獲得は、既存顧客に比べて5倍の販売コストがかかるといわれています。そのため、新しい顧客に商品を紹介するよりも既存顧客に勧めたほうが効率的です。既存顧客との関係維持は企業の売上に直結するため、それをサポートするCRMの需要が高まっています。
また、現在は月間契約などのサブスクリプションモデルが広く浸透しています。サブスクリプションモデルは、サービスを提供する代わりに顧客から月々の利用料を支払ってもらうサービスです。しかし、サブスクリプションは途中で解約することもできるため、顧客との良好な関係が維持されていないと長くサービスを使い続けてもらうことができません。サブスクリプションモデルにとってLTV最大化は必須であると同時に顧客との関係維持も欠かせないためCRMの需要が高まっている背景のひとつです。
CRMの国内導入状況について
CRMは多くの企業で導入が進められていますが、日本全国を見てみるとまだ導入を果たせていない企業は多いです。
株式会社TSUIDEが2022年2月14日~2月15日に実施した『SFA、CRM導入に関する調査』によるとSFA、CRMを導入している企業は1,284件、全体のたった9.1%でした。90.9%にも及ぶ12,751件が導入していない状況となっています。そのため、日本全国を見てみると導入済みの企業は少なく、DXの波に乗り遅れていることが顕著です。しかし、裏を返せばCRMを導入することで多くの企業と競争力で差別化を図ることができるため、市場の中で優位な位置を獲得できるともいえるでしょう。
CRMを導入することで得られる6つのメリット
CRMを導入することで企業は6つのメリットを獲得することができます。具体的にどのようなメリットを得られるのかについて解説しますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
情報を集約・一元管理できる
1つ目のメリットは、情報を集約して一元管理することができる点です。
CRMを導入していない状態の場合、それぞれの社員で顧客情報を管理することになります。例えば、顧客Aさんの情報は営業担当Aさん、顧客Bさんの情報は営業担当Bさんのようになるのです。社内のパソコンに情報が点在しており、引継ぎをするときはメールなどで情報を送信しなければなりません。また、共有するときも同様に手間がかかります。
CRMを導入すれば、すべての情報がデータベースで管理されるため、個々で情報を管理するということがなくなります。これにより、情報共有がしやすくなるため、非常に大きなメリットです。
Excelの顧客管理から脱却できる
2つ目のメリットは、脱Excelを果たせることです。
CRMの国内導入状況でCRMを導入していない企業は多いといいました。その中には、Excelを使用して顧客管理を行っている企業も少なくありません。Excelは、システムを導入するよりもコストが安く、利用を開始しやすいというメリットがあります。また、自由度が高く、普段から使用しているので使い慣れていることも活用されやすい理由のひとつです。
しかし、Excelは大量のデータを扱えないため、膨大な顧客データがある企業は利用できません。また、同時編集できないなどのデメリットがあります。
CRMを導入すれば、Excelを使用して顧客管理を行う上で不便な点をすべて解消することが可能です。Excelから脱却することができれば、そこから得られる利益も多いので、メリットがあるといえます。
作業効率の向上
3つ目のメリットは、作業効率の向上です。
CRMは情報を一元管理できるだけなく、その中から必要な情報を検索して素早く取り出すこともできます。そのため、レポート作成にかかる時間を減らし、作業効率を期待することができるでしょう。
リアルタイム共有が可能
4つ目のメリットは、リアルタイム共有が可能な点です。
情報の追加や変更があったときも素早く反映し、最新の情報を共有することができます。社員間で必要なデータをやり取りする必要もなく、顧客データの効率的な運用が可能です。
分析しやすい
5つ目のメリットは、分析機能が充実していることです。これにより、下記のような分析を実現することができます。
- ・デシル分析
- ・RFM分析
- ・セグメンテーション分析
- ・行動トレンド分析
- ・CTB分析
- ・クラスター分析
上記の分析を行うことで、顧客の属性を把握することができたり、リピーターを生むための戦略に活用できたりします。企業の商品開発やサービス改善に役立つため、CRMのメリットのひとつです。
顧客のニーズに合った提案が可能
6つ目のメリットは、顧客のニーズをしっかりと理解した上で適切な提案ができることです。
顧客情報を細かく管理したり、顧客とのコミュニケーションを積極的に行ったりすることで、信頼関係の向上やニーズの把握が可能になります。これにより、ニーズに合った提案ができるようになるため、顧客満足度向上を期待することができるでしょう。
CRMの問題点とは?
このように便利なCRMですが、導入によって発生する問題点もいくつか挙げることができます。問題点を知らずにCRMを導入してしまうとご紹介したメリットを得ることができません。そのため、導入を検討している方は、ぜひ問題点をチェックしてからシステムの購入をご検討ください。
PCDAサイクルを回せない
CRMは、PCDAサイクルを回してはじめて効果を期待することができるツール・システムです。つまり、PCDAを回すノウハウがなければ、大きな費用対効果を得ることは難しくなります。
CRMは顧客管理をサポートする優秀なツールです。しかし、その恩恵は使いこなすことができなければ得ることはできません。ノウハウのない人でもすぐに簡単に利用でき、効果を得られるということはありませんので、その点が問題点です。
活用されない
2つ目の問題点は、活用されないことです。
CRMを導入して効果を得るためには、うまく活用されなければなりません。例えば、従業員がCRMに対する理解が不十分である場合、何に役立つのかわからないため、活用されづらくなります。また、CRMは導入すれば部門間で簡単に連携が取れるようになりますが、従業員が連携しようという意思がなければ、その恩恵を受けることは難しいです。このように、高額な費用をかけてCRMを導入しても従業員に浸透せず活用されないという問題が発生する可能性もあるので注意しましょう。
CRMが不向きな会社の特徴3選
CRMは、企業によって向き・不向きがあります。不向きな企業が導入してしまうと逆に混乱を招き、費用対効果を得ることができなかったり、業務が非効率になってしまったりする可能性があります。自社にとってCRMが向いているのかそれとも不向きなのか把握したい方は、ぜひ参考にしてください。
不向きな会社の特徴① 導入を推進するためのメンバーを確保できない企業
CRMを導入してうまく社内で活用するためには、推進メンバーを確保する必要があります。なぜなら、各部門との連携が必要不可欠であり、問題が起きたときにどのように対処すればいいのかなどを指導する人物が重要となるからです。
コア業務が精一杯で、その中からCRMを推進するメンバーを輩出できないという企業は、うまく導入できなくなる可能性があるため、社内に浸透しないというリスクを抱えることになります。そのため、豊富な機能のCRMではなく、機能を限定して開発してもらい、独自のシステムを導入するというような工夫が必要です。
不向きな会社の特徴② 使用する機能が限定されている企業
CRMは高品質なパッケージであり、さまざまな機能が搭載されています。その中には、企業が使用しない機能、運用の中で不要なものも少なくないでしょう。
使わない機能がたくさんある企業は、従業員が使いづらさを感じることもあり、効率的に運用をすることができません。また、機能が豊富であればあるほど、その分費用も高くなるので、使わない機能に費用がかかるという悪循環が生まれます。
限定した機能しか使わない企業などは、スモールスタートで必要な機能だけが搭載されているシステムを構築してもらうことが重要です。
不向きな会社の特徴③ 扱う顧客情報が少ない
扱っている顧客情報が少ない企業は、大規模なCRMを導入してもそのメリットを得られない可能性があります。
CRMはあくまでも膨大な顧客データを効率的に一元管理するものであるため、そもそも扱うデータが少ない場合、分析効果などを得づらいです。そのような企業は顧客データが集まってから導入する、スモールスタートからはじめるというような工夫が必要になるでしょう。
CRMを導入する際に覚えておきたい注意点について
CRMを導入する際の注意点を把握しておくと導入後に失敗するリスクを大幅に減らすことができます。代表的な注意点を2つご紹介しますので、把握した上で導入するようにしましょう。
従業員に理解を促す
1つ目の注意点は、従業員にCRMを知ってもらうことです。
CRMが社内で活用されるためには、まず従業員にシステムの概要や導入することでどのようなメリットを獲得することができるのかなどを知ってもらうことが重要になります。CRMの導入は、社員からの理解を得てはじめて運用できるものなので、その点は意識するのがおすすめです。
費用対効果を考える
2つ目の注意点は、費用対効果を考えることです。
CRMは製品や規模によって価格が大きく変化します。例えば、「A社に比べてB社は機能が少なくその分費用が安い」、「スモールスタートのほうがコストを抑えられる」などです。
企業によって使いたい機能の数は異なるため、費用対効果を考えて予算に合うものを選択するようにしましょう。
まとめ
今回は、CRMの概要や導入メリット、注意点などについて解説しました。CRMは顧客情報を一元管理することができるため、導入すればリアルタイム共有などさまざまなメリットを獲得することができます。しかし、企業によっては、CRMに搭載されている機能のほとんどを使用しなかったり、十分な費用対効果を期待することができなかったりするところも少なくありません。機能を限定してスモールスタートで費用対効果の高いCRMを導入したい中小企業は、株式会社クラウドシードのスクラッチ開発でCRMを導入するのがおすすめです。必要な機能だけを搭載し、CRMを運用することができるので、CRMにありがちな問題点を排除することができます。興味のある方は、下記のリンクからお気軽にお問い合わせください。